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Key for Management

成果と生産性を高め、力を引き出すマネジメントのために produced by KAKEAI

Key for Management

成果と生産性を高め、力を引き出すマネジメントのために
produced by KAKEAI

マネジメントの役割は、業務の現場においてチームのメンバーを指揮・監督しながら、組織を運営し、チームに期待される成果を出すことです。では、そのマネジメントを強化するためにはどのような対応が必要になるのでしょうか?マネジメントに必要なスキルと強化のアプローチについて考えてみましょう。

マネジメントに必要なスキル

マネジメントに必要なスキルをいくつかの考え方で整理していきます。

1)ハーバード大学教授 カッツ・ロバート・Lのモデル

Harvard Business Reviewで発表された Skills of an Effective Administrator の論考の問題意識は、管理職の登用とスキル開発に有効なアプローチを見つけることにありました。管理職といっても役員と現場のマネージャーに求められることには違いがあることは、直観的に誰もが感じることですが、ではどのような違いがあるのか?という問題意識に基づいています。

また、成果を出す管理職が本来どのような特性を持っているのか?、ということではなく効果的に仕事をするためにどのようなスキルを活用しているのか?という視点でスキルの特定と開発のアプローチを示唆しようとしたものです。

カッツによると管理職は、「他の人の活動を指示し、活動を遂行して特定の目的を達成する責任を引き受ける者」と定義し、その役割の遂行には3つのスキルが必要だとしています。この3つのスキルは、相互に関連しているものの単独での開発が可能なものとされています。

①テクニカルスキル

特定業務を遂行する上で必要な知識や技術を含めた業務遂行能力

3つのスキルの中で最も具体的なスキルで、専門性が高まっている昨今では1メンバーとして業務を遂行する上でも当然求められるスキルです。このスキルを高めるためには、職業訓練的な知識や技術を社内外の研修や勉強会などでインプットすることや職場のOJTなどが具体的な開発手法になります。

②ヒューマンスキル

グループのメンバーに効果的に働きかけ、管掌するチーム内で協調的な取組みができる状態を作るための対人能力

このスキルが発揮されているかどうかは、管理職の周囲の人(上司、部下、同僚)がどのようにその管理職の言動を認識するかによって示されることになります。

ヒューマンスキルが高い管理職は、自分とは異なる考え方や感じ方があることを受け入れており、相手に自分の言葉や行動が本当に意味するものを理解させ、相手の認識との相違点を特定してすり合わせを行うことが得意だと言えます。結果的にこのような管理職のメンバーは、非難や嘲笑をおそれることなく、自分自身を自由に表現できる心理的な安全性を創り出すことができます。

このスキルを高めていくためには、まず自分のコミュニケーションスタイルを認識して、相手の特性を踏まえた効果的なコミュニケーション方法を理解することが必要です。その内容を実践して試行錯誤しながら、無意識のうちにかつ一貫して対応するレベルを高めていくことになります。

具体的に開発すべき観点は、以下のようなものになります。

自分の感情や感情を認識し、自分の言動がどのように周囲に影響を与えるかの視点
・自身の言動を振返り、次の機会に自らの言動を修正する
・行動や言葉(明示的または黙示的)によって他者が伝えようとすることを理解する力
・自分の考えや姿勢を他者に効果的に伝える力

③コンセプチュアルスキル

状況に関わる様々な要因の相互関係を認識するのに十分な概念的能力

組織の様々な機能がどのように関連しているかや、1つの変更が他の部分にどのように影響を与えるかを認識すること、組織内や対外的な関わる人のパワーバランスを把握することも含まれています。これらの相互関係や因果関係を把握し、様々な状況で「重要な要素」を特定することで、管理者は組織全体の利害を調整し特定の目的の達成に向けて全体を導いていくことができるようになります。

コンセプチュアルスキルの開発には、コーチングをはじめ様々な手法が取り入れています。有効なアプローチとしては、その管理職が困っている時に回答を与えるのではなく、管理職の上位者が「質問をなげかける」「状況に対応するための意見を考えさせる」「本人の意見に対して、さらに質問をなげかける」という風に概念的に捉えている視点の幅や深さを対話によって拡張していくという方法です。また、プロジェクト等で同レベル以上の管理職との接点をもたせながら、同じ責任を負う立場で仕事をする環境を与えることでこれまで気付いていなかった視点や物事の捉え方を体感的に習得して概念的な力を高めていくことも効果があるとされています。

3つのスキルの相対的な重要性―管理職の役割による求められること

テクニカルスキルが「事にあたる」ためのスキルであるのに対して、ヒューマンスキルは「人と協働する」ためのスキルと言えます。そして、コンセプチュアルスキルは、事象と人的側面の両方を対象しています。さらに重要なことは、コンセプチュアルスキルは、知識を行動に変換する能力でもあることから、テクニカルスキルとヒューマンスキルに関連しており、テクニカルスキルやヒューマンスキルを活用した結果次なる現実に対応するにはコンセプチュアルスキルが必要になるという意味で相互連関的に作用しているものだと言えます。

ゴルフを例にした時に、手、手首、腰、肩、腕、頭の動きはすべて相互に関連して1つの運動を作っているために、手の使い方だけ変えたとしても全体としての改善が図られないということと同じような関係性にあると言えるでしょう。とはいえ、手の動き、腰の動き、頭の動きと意識する箇所を1つづつ増やしながら全体としてのスイングを改善していくようにこの3つのスキルも個別に高めながら全体のパフォーマンスをあげていくというアプローチをとることが可能な技能です。

管理職と一言にいっても企業・組織内における立場は様々です。しかし、共通していることは他の人の活動を指示し、活動を遂行して特定の目的を達成する責任を引き受ける者」という管理職の定義に照らしたときに、ヒューマンスキルはすべてのレベルの管理職にとって不可欠なものだとされています。中間管理職は、実務を遂行するメンバーとの直接接触する頻度が最も多く、個々人を把握しながら組織内のコミュニケーションを促すことが求められます。そのような観点では、ヒューマンスキルは中間管理職層のレベルが最も求められるということになります。一方でより組織の上位職や幹部になるに従って、求められるヒューマンスキルの質が変わってきます。直接的なコミュニケーションにおける対応の在り方もさることながら、自己認識の妥当性や関わる様々な利害関係者の関係性や感受性の機微を捉えた対応が求められます。

管理職の階層ごとに重要性をつけるとすれば、現場や実務に近い管理職はテクニカルスキルが求められる割合が高くなり、経営層などより上位職になるとコンセプチュアルが求められることになります。最近の研究結果によると仮に経営の上位職にテクニカルスキルやヒューマンスキルが不足していた場合は、そのスキルを有する人材を活用することで機能を任せることができるものの、コンセプチュアルスキルが十分に高められていない場合は、組織の成果を左右する原因になりうるとされています。

カッツ・ロバート・Lのモデルから考えるマネジメント強化

1)中間管理職にテクニカルスキルはどの程度必要か

カッツが活躍したのは20世紀の中頃ですが、その時点においても特定の業務領域における専門的な議論を説いています。管理職という役割もさることながら、何かしらの業務を遂行を担当していく上で「専門的な技能」がより求められるようになっていくという問題意識があったと言えるでしょう。

一般的な組織では、担当する業務領域において高い問題解決力を有する人が管理職に登用される傾向にあるかもしれません。その場合では、管理職は部下であるメンバーの担当する業務をより上手に、円滑に遂行できるため指示、指導、監督が行いやすいというメリットがあります。しかし、最近ではより事業を円滑に進めるために多様な組織構成が組まれることもあり、管理職の培ってきた専門性とは異なる領域の専門性を有するメンバーがマネジメントの対象になることも多くなっています。また、技術革新や成功法則の変化のスピードが速い業界においては、最新の技術やナレッジを現場で最も知っているのが管理職ではなくメンバー側であるということも珍しくありません。

カッツのテクニカルスキルに関する論考でも、管理職がテクニカルスキルを十分に保有していない場合は、熟練した技術を有するメンバーが存在することでチームの運営は可能だと示唆されています。逆にテクニカルスキルによって、メンバーに直接的な指導、示唆を行うことが難しい状況においては他の2つのスキルであるヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルを活用してチームを運営していくことが求められるでしょう。

2)中間管理職がヒューマンスキルを高めるには

グループのメンバーに効果的に働きかけ、管掌するチーム内で協調的な取組みができる状態を作るためのスキルは、存在感、日々の言動、メンバーへの対応の仕方など総合的にスキルが発揮されることになります。カッツも指摘する通りどこかの場面で、意識をしてヒューマンスキルを活用するというよりは、無意識的な言動も含めて一貫した影響をメンバーに与えていくことが必要になると理解できます。

管理職にとって似たような考え方をしているメンバーであれば自分の経験値に基づいた対応で、相手に期待する言動を促すことができるかもしれません。しかし、仕事に対する価値観や働き方への志向も多様化しているなかでは、「言ったから、相手が動く」のを待っているだけでは状況がなかなか変わっていかないでしょう。基本とする考え方には、考え方や感じ方にはそれぞれ個々人の特性がありそれを踏まえてコミュニケーションをとることが、結果的に望ましい状況をつくる近道になるということです。自分の自然な振る舞いや言葉遣いが相手に与える印象や影響を客観視して、相手の反応をみながら、より良い方向に変えていけるように修正していくというサイクルを回していくことがヒューマンスキルを高める第一歩になるのではないでしょうか。

3)中間管理職がマネジメント力を総合的に上げていくには

カッツモデルの捉え方では、課長職などの中間管理職にはテクニカルスキルが求められ、上位職となっていくほどコンセプチュアルスキルが必要になるというメッセージに着目されることが多いようです。しかし、中間管理職は直接的にメンバーと接触する頻度が高く、実務の現場において成果に向けた働きかけをしていく上では、ヒューマンスキルは前提として求められるということになります。

カッツは管理職が期待する役割を果たすために必要なスキルを開発する目的で3つのスキルに分解して分析をしていますが、実際にマネジメント力を高めていく上では個々のスキルを高めることとその3つのスキルを統合的に活用する方法論を体得することの2つのアプローチが必要になります。実際に組織として成果を出すためには、コンセプチュアルスキルを駆使して課題を設定しその解決の方向性を見出した上で、テクニカルスキルやヒューマンスキルを活用し、その結果をさらにコンセプチュアルスキルで検証しながら次の手を打っていくという流れになります。

OODAループと呼ばれる観察(Observe)- 情勢への適応(Orient)- 意思決定(Decide)- 行動(Act)を管理職個人と組織のレベルで回していくことを意識するとこの3つのスキルを統合的に活用することを体感できるでしょう。観察(Observe) 意思決定(Decide)では、コンセプチュアルスキルを主に活用しますが、情勢への適応(Orient)と行動(Act)では、テクニカルスキルやヒューマンスキルをメインで活用することになります。

3つの力を個別に高めながら、その力を連携して活用する方法をみつけることで管理職としての対応力を高めていくことが可能になります。

 

 

 

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