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Key for Management

成果と生産性を高め、力を引き出すマネジメントのために produced by KAKEAI

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組織・チーム力

会議の種類によって、振るまい方や進め方法が変わる! マネージャーが覚えておきたい、スムーズな会議の進行術~後編~

更新日:

マネージャーになると、会議の進行を任されることが増えてきます。それまでとは役割が変わるため、どのようなスタンスで会議に取り組めばよいのか、どのように工夫すれば活発な議論をおこなえるのかと迷う人も多いでしょう。とくに、進行役になったときに「部下の会議に対する参加意欲」で悩む人は多いものです。

ここでは、会議を進行する立場になったときに「うまく進行できない」と悩みやすいポイントごとに、対処法を解説していきます。

まずは覚えたい、ファシリテーターの働き

上司と部下の間に立つ立場のマネージャーは、会議の仕切りを任される機会も多いもの。会議の進行役、すなわちファシリテーターとして立ち回るにはコツが必要です。「ファシリテート」とは「促進する」「容易にする」という意味で、会議でスムーズに決めごとをするための技術を持った人が、ファシリテーターです。

会議では「部下たちの見本となるように、率先して意見を出さねば」と思うかもしれませんが、進行役はあくまで見守り、サポートするのが役目です。進行役も一緒になって話に夢中になると、会議はスムーズに進まずに長引いてしまいます。発言は、あくまでメンバー優先と考えましょう。

また、メンバーから議論の際に出た意見やアイデアに対し、進行役は「それはよい・悪い」とジャッジはしないことも大切です。もしも、あなたがその会議で「それでいこう」と決定する権限を持っているなら、決定権を持つ人が場を仕切ると、メンバーは上司が望む結論に誘導されたと感じ、不満が募ってしまいます。また、上司の評価が気になって発言しにくくなり、競い合う展開になることもあるでしょう。

具体的なファシリテーターの技術に関しては、書籍『世界で一番やさしい会議の教科書』榊巻亮(日経BP)が参考になるはずです。

会議の種類ごとに、進行の際に抱える悩みは異なる

一口に「会議」と言っても、さまざまな種類があります。会議を進行する際に抱える悩みは、その種類によって微妙に異なります。まずは、会議の種類を覚えておきましょう。

◆情報共有や報告をする会議

数字の報告や取引先の共有など、持っている情報をその場にいる全員に伝えるのが目的の会議です。発言者が用意した資料を読み上げる時間が中心となりますが、ひとりあたりの持ち時間を定めておかないと、長々と話を聞くことになり、参加者の集中力が途切れてしまいます。

◆ブレストやアイデア出しのための会議

なんらかの問題を解決したり、新しいものを生み出したりするために、その場にいる全員でアイデアを出し合う、ブレインストーミング(ブレスト)形式の会議です。このタイプの会議では、同じ人ばかりが発言したり、沈黙が続いたり、脱線したりしやすく、進行役の手腕が問われます。

◆議論を経て、結論を出すための会議

なんらかのテーマに対する話し合いがなされ、最後に結論を導き出すための会議です。経営会議や企画会議、営業会議など、多くの会議がこれにあたります。ひとつの会議のなかで「問題点の洗い出し」「議論(解決案の検討)」「タスクの割り振り」と、やることが盛りだくさんのため、ダラダラと長くなりやすいのが難点。また、批判的な人がいると言い争いに発展することもあります。

会議ごとによくいる、進行を妨げるメンバーとは?

ここからは、前述の会議ごとによく見かける、進行の妨げとなる例を挙げながら、考えられる対処法をお伝えします。

◆情報共有や報告をする会議でよくあるNG例

・長すぎて飽きてしまう

発言者が用意した資料が長すぎると、延々と読み上げられる資料を聞くだけになり、参加者の集中力が途切れてしまいます。事前に「ひとりあたり、持ち時間は3~5分」などと時間制限をかけておけば、資料のボリュームを抑えられます。または、資料を淡々と読み上げるのではなく、会議の最初に各自で読み込んで、どうしてもというポイントだけを読み上げるのも手。その後、疑問点や確認したい点のみを確認すれば、活発な議論の場にもなります。

・報告の最中で口を挟む人がいる

発言者が報告をしている最中で「この意味がわからないのだけど」「なんでこの結果になったの?」などと口を挟む人がいると、報告が中断されてしまいます。そうすると、途中から別の議論が始まってしまうこともあり、長引く原因となります。この会議の主目的は、あくまで「共有と報告」にあることをメンバーに伝え、発表の最中は口を挟ませないこと。

◆ブレストやアイデア出しのための会議でよくあるNG例

・発言しない人がいる

会議を進行する際にネックになるのが、この「みんなが発言しない」というお悩み。とくに、自由に意見を出し合うブレストやアイデア出しでは、発言してくれないと会議が進まず、本来の目的が達成されません。発言しない人には、いくつかのパターンがあります。

口下手な人の場合、考えがまとまるまでに時間がかかることもあるので、そのタイプが多い会議では事前に「○○について話すブレストなので、各自アイデアを持ち寄りましょう」と伝え、事前に発言内容をまとめておけるようにします。そのうえで、口下手な人が発言をしたら、進行役はインタビュアーになって質問を重ね、意見を引き出しましょう。

失敗が怖くて発言できない人には、以前に考えを否定された経験がある人が多いものです。発言したときに「それは違うよ」など、マイナスの評価を下されそうで怖いのかもしれません。そもそも、ブレストは自由に意見を出し合う場なので、否定や評価は不要です。恐怖心をやわらげるには、初めに「ブレストなので、どんな意見も否定せずに聞きましょう」と参加者に呼びかけること。それでも否定する人がいたら「こういう意見もありですよ!」「今は○○さんの話をもっと聞いてみましょう」など、やんわりとたしなめましょう。

また、発言をしないのは上司に気を遣っていることも考えられます。ブレストの発言内容が評価につながると思ってしまうのです。その可能性がある場合は、「結果は共有させていただきますね」としたうえで、ブレストに上司を呼ばないのも手です。または、事前に上司に「若手にも自由に発言してもらいたいので、我々はあえて口出しをしないようにしませんか?」と提案してもよいでしょう。

・発言する人がいつも同じ

会議ではどうしても、発言力のある人が中心になりがちです。でも、ブレストは「さまざまな人の意見を自由に集める」ことが主目的なので、発言する人に偏りがないのがベター。同じ人ばかりが発言するようなら、進行役はまたは「○○さんの意見は実に参考になりますね。では、次に××さんはどうですか?」と、ほかのメンバーにも話を振るようにしましょう。

ただし、進行役が勝ち負けの意識をあおることはNG! ここで「○○さんばかり意見を出してくれていますね。これだとみんな、○○さんに負けてしまいますよ」などと炊きつけることはやめましょう。

・脱線することが多い

ブレストは自由度が高いので、気をつけないと雑談になりやすいもの。場をなごませるために、少し雑談するくらいならよいのですが、何度も本題とは関係のない話になってしまうのは困りものです。少し見守って、明らかに脱線している場合は、司会者から「さて、このあたりで本題を思い出しましょうか(笑)」と呼びかけたり、「○○さん、この話題をどう本題につなげてくれるんですかね~(笑)」と伝えたりして、話を戻しましょう。このとき、明るく笑いながら言うのがポイントです。怒りや皮肉をあらわにすると、せっかくのブレストなのに参加者が萎縮して、話しにくくなる恐れがあります。

・出た意見がうまくまとまらない

ブレストはあくまで「メンバーたちが持っているアイデアを自由に伝える場」で、いわば風呂敷を広げる場です。まとめを意識しすぎると、場が温まってさまざまなアイデアが出ている途中なのに、進行役が「つまり」「要するに」とまとめ始めてしまい、アイデアに広がりが出ません。

確かに、ブレストで出た意見から実現可能なものに絞り込み、タスクに落とし込む作業は必要です。でも、それは必ずしも、ブレスト会議内でおこなう必要はありません。後日、改めて「どのアイデアを、どのように実現させるか?」という現実的な会議をすればよいのです。まとめすぎないことが、ブレストでは必要です。

◆議論を経て、結論を出すための会議

・ダラダラと長引いて、時間通りに終わらない

ひとつの会議のなかで「問題点の洗い出し」「議論(解決案の検討)」「タスクの割り振り」まで導き出す必要があるので、長引きやすいのが難点。やるべきことが多いので、必ずしも1回の会議で終わらせる必要はなく、たとえば「問題点の洗い出し」をするブレストをやってから、後日それをもとに「議論」と「タスクの割り振り」をおこなう手もあります。

まず、会議の最初にタイムテーブルを書きだしましょう。時間の制約があれば、参加者も発言をまとめる意識を保てます。さらに「この会議は何を決める場なのか」を明らかにしましょう。「売上を上げる」のように曖昧な目的ではなく、たとえば「1年の間、二度目の依頼がなかったクライアント各社に対して提案する、新しい企画を最低でも5つ決める」のように具体的な目的が必要です。目的が共有されていれば、話も脱線しにくく、まとめやすくなります。

また、議論が多岐にわたる場合、参加しているメンバーも「今、何についての議論をしているのか」が混乱しがちです。そのときは、ホワイトボードを活用しましょう。ホワイトボードがあると、メンバーは「今はこれについて話しているのか」とわかりやすいので、論点がズレにくくなります。また、「少し整理してから発言しよう」と心がけるので、ダラダラと話すことが少なくなります。

・反対意見が多くて揉める

会議の場は、時に言い争いになることもあります。会議での発言を通して「自分のほうが上だ」とマウントを取りたい人がいたり、流れで「売り上げが立たないのは自分(または自分のチーム)のせい」と言われてカッとなったり、理由はさまざまです。会議で反対意見が出るのは悪いことではなく、時として揉めることもあるでしょう。大切なのは、その言い合いが「議題となっている件を解決する」目的に沿っているかどうかです。

言い合ううちに「半年前から気に食わなかったんだ」と過去を持ちだしたり、「君のその頭が固いところが気に入らない」と人格を否定したりするようであれば、それは会議の議題とは関係のない、ただの揉め事です。進行役はいったん会議を中断し、そもそもの目的を再度伝えて仕切り直しましょう。

でも、もしその言い合いが目的に沿ったもので、お互いに「よりよくしたい」という気持ちからの発言ならば、それぞれの意見を整理してから「みなさん、相反する意見が出ましたが、どう思いますか?」と投げかけ、ほかの参加者の客観的な視点を通して議論しましょう。

・決まったことが実現されない

会議でよくあるのが「長時間話し合ったけれど、決まったことが実現されずに終わる」ケースです。会議の最後には、おのずと「会議後にやるべきこと」が出てきます。たとえば「前の担当者に連絡先を問い合わせる」「クライアントの新任の担当者に連絡をする」など、細かいタスクです。

会議の最後には必ず、タスクごとに「誰が、いつまでにやるか」と担当を割り振りましょう。「自分のやるべきことくらい、会議を聞いていればわかっているだろう」と思わないことが大切です。人は意外と思い込みが強いもの。会議後に「本日の会議で決まったこととタスクの分担・期日」を共有するメールも送ったほうが安心です。

質のよい会議とは、参加者が目的を理解し、目的に応じた発言をおこなって結論を出し、会議後のアクションにつながる会議のこと。そうわかってはいても、それを実現することは難しいものです。でも、ポイントを押さえて進行すれば、部署や会社全体の成果が上がるだけでなく、各自の仕事内容もまとまって働きやすさにつながります。「会議はどうせつまらないもの」と考えず、全員のモチベーションを上げる機会ととらえて、さまざまな工夫をこらしてみましょう。

(構成・文=富永明子)

※参考資料
『そうか!「会議」はこうすればよかったんだ』齊藤正明(マイナビ新書)
『世界で一番やさしい会議の教科書』榊巻亮(日経BP)
『ムダゼロ会議術』横田伊佐男(日経BP)

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