部下育成の場面では、上司(マネージャー)が部下に対して、指示や指導する場面もありますが、部下の主体性を引き出すために部下自身の考えを聞き出し、上司(マネージャー)の考えと合致している点を確認し、ズレを調整していくアプローチが必要です。とは言え、上司(マネージャー)と部下が話をするとどうしても、上司(マネージャー)が話をしている時間が長くなってしまうという傾向があるようです。今回は、部下の話を引き出すための対話の進め方を紹介します。
日々の業務の進捗確認は、合間の会話やメール等でやり取りをしますが、何かしら部下の考えや認識を引き出したいときには、対話の場を設定することが必要です。部下に話をしてほしいテーマを予め伝えておき、個室の会議室などの話しやすい環境を準備します。また、その対話の時間では、上司(マネージャー)の指示や考えを伝えるのではなく、部下の考えをまず聞き、そのうえですり合わせを行う場であるという目的を確認します。
1)場の設定
対話を始める前に、その時間の終了時には何を明確にしたいのか、どのような点をすり合わせたいのか、といった対話のゴールについても確認します。
2)部下の考えをまず聴く
対話の目的とゴールを確認したら、部下にまず話をしてもらいます。結論を急がずにまず、部下の話を遮らずにまずは部下に今の認識や考えを話してもらいます。
3)質問する
次に上司(マネージャー)が、部下の話をきちんと理解できているかを確認するための質問をします。言葉の定義や現状をどう評価して、どう進めようとしているのかなど部下の話について上司(マネージャー)の理解したことを伝え、部下の認識とずれがないかを確認します。また、上司(マネージャー)の考えを想定して、求められている答えを回答していると感じた場合にも部下自身の考えを言っているか、確認します。
4)整理する
人は話をしながら自分の考えを整理していきます。部下の話について理解した内容について整合されていないと感じた点については、「他の観点で見ると別の評価ができないか」「優先順位の判断が違うと別の方法がないか」など話を整理しながら、部下の考えをより明確にしていきます。
5)フィードバック・提案する
部下の話を理解し、整理したうえで、上司(マネージャー)が良いと感じた点、同じ意見だと感じる点を伝えます。何かしら部下の考えを修正して別の考えを取り入れてほしいと感じた場合は、改善点を伝えることもします。そのうえで、状況の認識について、別の見方や気づいていない視点(考え方、やり方)を伝えるほか、具体的な方法論ややり方を提供します。
6)合意した点の確認とネクストステップの確認
次の対話の時間までにどのような状況を目指すのか、具体的にどのような言動をとるイメージか「動き方」を上司(マネージャー)と部下で確認します。合意できなかったことについては、双方持ち帰り次の対話の時間に何を論点に話をするかを確認します。
部下育成関連の記事
部下の「認めてほしい」心を理解し、モチベーションを上げる方法