コーチングとは、クライエント(相手)とコーチの協働関係によって、クライエントの自主性や自律性を尊重しながら、クライエント自身が状況の改善や問題の解決を図るために支援を行うプロセスを指します。
コーチングとは
促進的アプローチ、指導的アプローチで、クライアントの学習や成長、変化を促し、相手の潜在能力を解放させ、最大限に力を発揮させること目指す能力開発法、クライアントを支援するための相談(コンサルテーション)の一形態である。
出典・引用元:Wikipedia コーチング
マネージャーが部下の問題や課題を解決する場合に、指導の一環としてコーチング的なアプローチが用いられるケースも多くありますが、答えを与える指導ではなく、部下本人が答えに到達する過程をより早く、より良く導くための働きかけをすることが望ましいと言えます。「答えは、相手の中にある」というスタンスで関わることで、コーチングの成果を引き出すことが可能になります。
コーチングの語源
乗合馬車を意味する”COACH”がコーチングの語源です。中世ヨーロッパハンガリーのコチ(Kocs)で作られたで馬車は、鉄製で頑丈であったことから「人を目的地に連れていく」有効な手段として認識されていました。その意味を起源にクライエントとのかかわりを通じて、クライエントが自分の達成したい状況を実現するために支援する関りがコーチングと呼ばれるようになりました。
コーチングの実施方法
コーチングにおいては、クライエントとコーチという立場・役割を設定します。クライエントは、自分の考えや想いをもとに自分の解決したい問題をテーマに選び、コーチと協同して問題解決を進めていきます。コーチはクライエントと基本的な信頼関係を築くとともに、コーチとして、一緒に実現したいテーマの課題に向き合い、課題や障害を乗り越えることを支援する立場としてクライエントに関わります。コーチは自らがクライエントの問題を解決するのではなく、クライアント自身が問題を解決することを支援する立場であることをあることを予め合意しておくことが必要です。
コーチングのテーマ
クライエントが扱いたいテーマでコーチと合意したテーマを設定することができます。ダイエットや英会話などの語学学習などの個人的なテーマを設定することも可能で、現在の状態から目指したい・望んでいる状態を定義し、そのギャップを埋めるためのプロセスに取り組んでいきます。
企業内でのコーチングにおいては、以下のようなテーマが具体的な例として考えられます。
・組織、チームでどのようなミッション、ビジョンを掲げるか
・目標管理制度で設定した目標をどのように達成していくか
・業務を進める上で必要なスキルや思考、判断・意思決定力をどのように身に着けるか
・業務上で抱えている人間関係の問題をどう円滑に解決していくか
・中長期的な視点で個人のキャリア目標をどのように設定し、達成していくか
マネージャーが、部下育成でコーチングを活かす方法
マネージャーが部下を育成する上でコーチングを活用できるシーンはたくさんありますが、その際に抑えておくべき観点がいくつかあります。
・部下のステージに合致しているか?
コーチングは、相手の潜在能力を解放させ、最大限に力を発揮させること目指す能力開発法であるために、一定の業務遂行の知識やスキルを有している段階の部下に対して有効なアプローチだと言えます。業務を進める上での基本行動がまだ習得できていない場合には、ティーチングを行ったうえで、コーチングを行う方が成長のスピードが速くなります。
・コーチングによる関わり方を合意しているか?
マネージャーが部下と関わる上では、業務のアサインや業務の進め方に関する指示を行う必要があります。上司はコーチングを用いて、部下の自発的な行動を促したいと考えている場合でも、部下側にその認識がなければコーチングの効果が薄らいでしまいます。マネージャーと部下の関わりの中で、どの部分においてコーチング的な関り方をするのか予め双方で合意をとるようにしましょう。
・適切なテーマを設定できているか?
具体的な業務内容、組織運営方針、個人のキャリアなど現状からより良い状態を目指したいというテーマであれば、マネージャーと部下が協働しながら、コーチングを活用して問題解決を進めることができます。「問題意識が曖昧な状態から、課題を特定できている状態」への移行をテーマに扱うことも可能ですが、具体的なテーマを設定して、現状のどのような状態から望ましい目指す姿を明確に定義できるテーマでコーチングをする方が、より効果が期待できます。
・安心、安全な環境を用意できているか?
マネージャーと部下の関係性は、考課者―被考課者という関係でもあります。部下からみるとマネージャーは、現在の業務だけでなく自分の今後のキャリアに影響力を及ぼし得る存在です。そのため、部下は自分の発言の影響力を勘案しながら話をすることも想定されます。安心・安全な環境であってこそ信頼関係をもとに双方が問題解決に向けて一緒に取り組むことが可能になります。マネージャーと部下がコーチークライエントの関係になる場合には、コーチング中の発言において評価を左右しないなどの約束を明示するなど、より本音を言いやすい環境づくりをコーチであるマネージャーが心がけることが必要です。
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マネージャーなら覚えておきたい、コーチングの技術とは
部下をマネジメントする立場になると、多くの相談が寄せられるようになります。通常業務の進め方や納期、急に起きたトラブルの対応についての相談だけでなく、働き方や業務の目標、異動・転職も視野に入れた人生相談を受けることもあるでしょう。
そんなときに「部下をよい方向へと導けるマネージャーになれたら」と思うものの、いざ話してみると、相手からは前向きな意見が出てこなかったり、うまく話がまとまらなかったり、よいアドバイスができなかったりして悩む人は多いものです。そんなとき、覚えておきたいスキルに「コーチング」があります。